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ま、タイトル通り「あったってなくたって大してかわりゃしない(by古今亭志ん朝師匠)」blogであります(苦笑)。

「野性の馬」シローとブレッド&バター

御馴染み(?)元ザ・タイガースのメンバー…というよりかは、今やすっかり借金王として有名になってしまった感のある岸部シローと、岩沢二弓(「いわさわ・ふゆみ」と読みます)と岩沢幸矢(こっちは「いわさわ・さちや」と読みます)兄弟フォークデュオ、ブレッド&バターが1970年に発表したシングル。確かオリコンチャートではベスト50には入ったかと思うが、世間的に知ってる人はどれだけなんだろう…という曲。

私にとって、フォークとは「とっつきやすい曲」であるべきだ、という自分なりのルールがある。そのルールにこの曲はとことんまでにはまっている。
「まるで野性の馬さ」と歌詞にもいうように、この曲の中で「自然の中で風を切って走」っているのも、「夕陽を目指して風を切って走」っているのも、実は人間なのだが、主人公から見てどういう関係にある人なのかは分からない。分からないけど歌いたくなってしまう。
ひょっとしたら、フォークとは「訳は分からないがとりあえず歌いたくなる」曲という条件も加味された上で考えられる音楽なのかしらん、とも思えてくるから不思議なものである。
かように何だか分からない歌詞とフォークギターのシンプルな刻みが巧みに融合した結果、実に聞きやすい一曲が出来上がっている、というのが私個人の見解である。
渡辺音楽出版から発売されている「フリー・フォークの夜明け」というオムニバスCDに収録されている。GS、ニュー・ロックなどのジャンルにも跨っていて、もう一つの日本の音楽シーンが垣間見られる一枚である(殊に終盤の2曲、クニ河内の「臆病風に吹かれて」と伊東きよ子「狂女」はあまりの強烈さに心も凍りつくこと請け合いであることを記しておく)。