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ま、タイトル通り「あったってなくたって大してかわりゃしない(by古今亭志ん朝師匠)」blogであります(苦笑)。

「何故にお前は」北大路欣也

はて?北大路欣也が歌を歌ってたっけ?とお思いの方、そうなんです。
実はこの曲、彼が主演していた時代劇「地獄の辰捕物控」の主題歌なんです。
今放映中のドラマ「華麗なる一族」でもさすがの貫禄でキムタクなんぞ足元にも及ばない重厚な演技を繰り広げている大ベテラン・北大路御大も、当時は映画業界が斜陽になり、本格的にテレビに仕事の中心を移行しつつあったんですな。
何せかの「旗本退屈男」で名の知れた剣劇俳優・市川右太衛門を父親に持ち、同じく戦前から戦後暫くの時期まで殺陣で並ぶもの無しという評判をとった近衛十四郎の息子・松方弘樹と共に「東映城のプリンス」などと呼ばれた時期も過去のものとなりつつあった時期(因みに「地獄の辰捕物控」は1972年の作品。更にこの翌年公開された「仁義なき戦い・広島死闘編」では実在の広島極道戦争時のヒットマンをモデルにした孤高の殺人鬼・山中を力演しましたね)とあって、この作品で彼は全編に渡ってギラギラした視線で悪党を睨みつけ、悪党以上に非道な手口で悪党を追い詰める正に「地獄」の岡っ引き・辰造を熱演したのでありました。
そのあまりに凄まじいドラマのテーマ曲は、原作を手がけた今は亡き作家・笹沢左保が作詞を手がけ、昨年亡くなった(もうすぐ命日ですね…)天才・宮川泰が曲をつけ、後の彼の傑作「宇宙戦艦ヤマト」にも通じるスケールの大きなアレンジが加えられた結果、比類無き名曲と…思ってるのは私だけ?な作品となったのであります。
笹沢左保自身の心の叫びとも言える歌詞と、淀みなく激しく流れる大河の如き宮川泰の紡いだメロディとアレンジの奔流に、心行くまで酔い痴れる、そんな聞き方がいいのだと、個人的には思います。
テイチクさんから出ている「時代劇グレイテスト・ヒッツ2」というCDに収められています。この他にもこのCDには隠れた名曲がたくさんたくさん入ってるので時代劇が好きでない人も騙されたと思って聞いてみてください。