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ま、タイトル通り「あったってなくたって大してかわりゃしない(by古今亭志ん朝師匠)」blogであります(苦笑)。

「ウルトラマンメビウス」ツッコミレビューVol.13(えらい久々)。

第13話「風のマリナ」(脚本:長谷川圭一 演出・特技監督:村石宏實)

冒頭、ひとりのキャンパーが何かを感じて外を見ると…そこに巨大な怪獣・ムカデンダー(この時点ではまだ名前は明らかにされていないが)が出現!慌てて逃げるキャンパー…しかし、もたれかかった一本の木ごとムカデンダーに喰われ、彼の背負っていたリュックだけが谷底へ…のっけから緊迫感溢れる展開だ*1

さて、場面は一転、並んで走る二台のバイクを映している…バイクは一路見晴らしの良い山へ…。
その頃、司令室では…
ミライ「ツーリング?マリナさん、釣りに行ったんですか?」
とのっけからボケをかますM78星雲人(苦笑)。思い切りリュウとテッペイに呆れられています。
ジョージ「アミーゴ!ツーリングってのは、オートバイとかで遠出することだ」
コノミタン(微笑)「そ!天気のいい日におべんと持って…いいな〜ぁ、羨ましいなぁ〜」
両者ともナイスフォロー。ただ、コノミタンの場合は明らかに弁当の方がメイン目的のような気が…(笑)。
「で、誰なんだろうね?その、気になるお相手は?」
コーヒー淹れながらさりげなく話に加わる隊長。彼氏…ですかね?というテッペイの推測だが、それは見事にハズレ。マリナの所属しているレーシングチームの監督・カドクラさん(演:影丸”平成セブンのカザモリ隊員”茂樹)とのこと。リュウの話によれば、レースの予選でチームが惨敗し、落ち込んでいるようだったので励ますために連れ出したのだとか。そんなマリナの気遣いに心から(いや、ホントに心から喜んでいるように見える)感激するミライであった。

そのマリナとカドクラは、見晴らしのいい場所でバイクを停めた。缶コーヒー*2を飲みながら四方山話に興じていると…マリナが突然ある方向を見て叫んだ。
「あの人…」
分厚い登山着を着込んだ一人の女性が何やら崖の底を見つめている…あっ、飛び降りた!
急いで飛び降りたと思われる地点に下りる二人…しかし、その女性の死体(らしきもの)は何処にも見当たらない…あるのは赤いリュック…あれ?このリュックって…そのリュックに手を伸ばした途端、カドクラは何者かに投げ飛ばされ水溜りにバシャーン!
…何と、投げた主は件の女性!
水溜りから何とか這って出るように上がったカドクラと、助けたマリナが一斉に女性に食って掛かるが女性の方も強気だ。
女性「泥棒かと思ったんだ!」
カドクラ「ふざけるな!大体俺の何処が泥棒に見える!」
女性「(カドクラの鼻先に拳を突きつけ)…その顔が!」
マリナ「ちょっと!そんな言い方ないでしょ!訂正しなさいよ!!」
と…その女性がサングラスを取ってマリナの顔を覗き込む。
女性「…マリナ?」
マリナ「リンコさん!」
この女性、サワキ・リンコといって、知る人ぞ知る女性登山家なのだとか(演:清水”セイザーミトラス”あすか)。マリナとはかつてGUYSライセンスの適正試験を一緒に受けたことがあり、会場にいた如何にもDQNな野郎*3を投げ飛ばしたことがきっかけで知己を得たというわけ。リンコの性分で、こういう暑苦しい熱血バカを見ると投げ飛ばしたくなる(どんな性分なんだ?)らしい。そこでマリナが思い出したのは…リュウだった(苦笑)。で、次のカットではお約束どおりリュウがくしゃみをする、と(爆)。
リンコは、この山でロープを使って素早く山を降りる特訓をしていた所、先ほどの赤いリュックを発見し、調べようとしていたとのことだった。失くしたにしては備品などもしっかりしている、ひょっとしたら思い過ごしかもしれない…しかし、言い終わらないうちに川を流れてくる衣服の切れ端…ずたずたに裂け、血がにじんでいる!
カドクラ「…思い過ごしじゃない!」
その時、山中に轟く一発の銃声…。
件のムカデンダーが、一人の猟師を襲っていた。二発、三発…慌てて猟銃に弾を籠めるもムカデンダーに喰われる猟師…*4

銃声のした方へ駆け寄る三人…持ち主を失った猟銃が空しく転がっていた。
リンコ「…これを撃ってから襲われたんだね」
カドクラ「襲われたって、何に!?野犬か…熊か?」
いや、熊はともかく、野犬は違うんでない?>カドクラさん。
と…そこへムカデンダー出現!マリナは本部に連絡を取ろうとするが…コールに応答がない?
迫るムカデンダー!逃げる三人!逃げざまに通信機・メモリーディスプレイに付いた撮影機能で怪獣の画像データを取り込むマリナ…この辺短いカットの中結構動きがあって迫力があります。
一方、マリナがツーリングに行った山中…八幡が岳一帯に広い範囲に亘って高電圧によるピエゾ効果が発生し、通信が取れなくなってしまう。コノミタンのコールにも応答しないマリナ…大変だ!ミライがガンウィンガーで偵察に向かう。
どうにか洞窟に逃げ込み、ムカデンダーの追跡を逃れた三人…そこでマリナは先ほどのデータから、自分たちを襲ったのはドキュメントZATにその記録が残るムカデンダーであると確認する。そこでリンコが通信機の怪獣テータ検索機能に興味を示したことからマリナが思い出したのは…テッペイだった(笑)。で、次のカットではお約束どおりテッペイが(以下略)。
そこですっかり話が弾んだマリナは、洞窟からの抜け道を歩きながら、調子に乗ってジョージやコノミタン、サコミズ隊長のことを思い出す…もうお分かりですよね?この後の展開は(謎)。
ジョージがくしゃみをし、コノミタンがくしゃみをし、「おいおい、悪い風邪が流行ってるのか?」と余裕の表情でいたサコミズ隊長がくしゃみを…しそうでしなかった(転倒)。この「…セーフ」という表情が何とも言えずいい!
そして…もちろんミライのことも思い出すマリナ…しかし、M78星雲人はくしゃみをしなかった(謎)。ん?ということは隊長って…(長考)。
やっとこさ洞窟から逃れ出る三人…しかし、地面に潜んで待ち構えていたムカデンダー!何せ休暇中だから銃は持ってきてないし…とポケットを探ったマリナは、出発前にコノミタンからお守り代わりに持たされていたマケットカプセルを発見!「メテオール規約第7条*5」に基づき、ミクラスリアライズさせる。
…と思ったら、マリナたちが逃げて行く後を追うように逃げるミクラス…おいおい(嘆)。
マリナ「ミクラス!いい子だからムカデンダーと戦って!」
その言葉に急ブレーキをかけて止まると、ムカデンダーに向き直り、闘志を燃やすミクラス。その目には炎が…って星飛雄馬か!
カドクラ「すごい!やる気だした!」
マリナ「…おだてたからかしら…?」
角から電撃一閃!ムカデンダーにダメージを与えた!おお、今回は頼もしいぞ、ミクラス!…と思ったらあっさり1分経過、ミクラス、ヴァニッシュ(消滅)…。却ってムカデンダーを刺激させてしまった。
怒り狂ったムカデンダーは口から火の玉を吐いて襲ってくる。それを避けようとして崖から滑落する三人…更に困ったことに、リンコが足を挫いてしまった!「私の事はいいから!」とプロの登山家として死ぬ覚悟は出来ていると二人を逃がそうとするリンコだが、
「かっこつけてんじゃねぇ!怪我人を見捨てていけるか!…こう見えても、俺はレーシングチームの監督なんでな」
というカドクラのやや意味不明な発言に考え直す。
やがて、マリナの聴覚を頼りに元いた場所へ戻る三人…しかし、しぶとく追ってくるムカデンダー!
バイクでヤツをひきつける!と息巻くカドクラを制して、マリナはその危険なおとり任務を買って出る…彼女にとっても一か八かの賭けなのだ。なぜなら…
その頃、偵察から戻ったミライは、リュウと共にガンフェニックスで八幡が岳に到着、ムカデンダーを発見する。
ムカデンダーの吐き出す火球をバイクで走りながらかわすマリナ…彼女のずば抜けた聴覚ゆえの離れ業だ。しかし…カドクラは語る。
「その聴覚が、彼女の弱点でもあった…彼女は練習のとき、最終ラップでいつもタイムを落としていた…」
アスファルトの軋みや限界ギリギリのエンジンの悲鳴を耳が捉えてしまい、アクセルを絞らざるを得なかったのだ、と…。
「恐れるな…そのスピードで曲がりきれ!」
何だか熱血バイク漫画みたいだなぁ…などと感心している場合ではなく、マリナはいよいよ最終カーブに入りつつあった…ブレーキに指先がかかる…やはりそこで減速してしまうのか…?と、その時…。
マリナには見えていた。
 振り返り微笑むミライが、
 胸のエンブレムに手をやるリュウが、
 びしっとサムアップするジョージが、
 背中を押すようなしぐさを見せるテッペイが、
 かわいらしいガッツポーズをとるコノミタンが…。
(風だ…風が私を後押ししてくれている!)
ブレーキから指を離し、アクセルを吹かすマリナ!
ハング・オン!スピードを緩めずに駆け抜けたコーナーの後ろで爆裂する火の玉!かわした!
そしてガンフェニックスもようやっと攻撃開始!ムカデンダーの火球を避け、分離攻撃に入る…って、ミライ?勝手に着陸するなって!しかもそこで変身するなってば!
…ま、変身しないとこれ「ウルトラマンメビウス」にならんもんね(謎)。
さぁ、バトル開始!ムカデンダーは変わった形状の怪獣ゆえ苦戦するが、どうにか接近戦に持ち込んだメビウス…しかし、ムカデンダーには物凄い特徴があった!
 「頭と胴体が分離する」
頭がすっぽ抜けても体は動き回って鞭のような触手で攻撃してくる!その代わり、頭を殴ったり地面に叩きつけたりすると体も悶絶するのだが(苦笑)。
メビウス、空中高く舞い上がるとメビュームシュートでムカデンダーを撃破!…と思いきや、吹っ飛んだのは胴体だけ!頭はまだ生きている!ピーンチ!
…と、思ったら別の方向から光線が飛んで、頭部を撃破!…なぁんだ、ヒカリだったのか(安心)。
リュウ「まぁたおいしいとこ持っていきやがった」
夕陽をバックに立つメビウスと、夜空をバックに立つヒカリ…見事なコントラストの画面が美しい!
そして二人同時に飛び去って行く…。
命を拾った三人は、バイクを停めてある場所まで戻ってきた。
そこでカドクラが意外なことを言い出す。チームに戻ってきて欲しいと説得しようとしていたのだ、と…。
「でも、…もう、諦めた!マリナがGUYSの任務を心から好きだって分かったからな…頑張れよ!」
とは言うものの、さっきの走りは惜しかった…と諦めきれない様子のカドクラさんに、リンコがこれまた意外なことを言い出す。
「なんならあたしが代わりに走ろうか?こう見えてもバイクに凝ってた時期があるんだぜ?」
…実は嘘だったんだが(笑)。
そして、迎えに来たミライとリュウを見て、
「不思議ちゃんに熱血バカか…」と口走るリンコ。
(そう、私に風の声を聞かせてくれた、素晴らしい仲間よ!)
心の中で、自分を励ましてくれた二人に改めて例を言うマリナであった…。(終わり)

ツッコミどころ…もとい、こぼれ話

  1. 今回登場するムカデンダー。熱心なウルトラファンでもまず思い出さないようなマイナー怪獣だが、脚本を担当した長谷川圭一氏曰く「四番バッターばかりじゃ野球は出来ない」との理由で今回めでたく登場することに。というか、この人の脚本回はマイナー怪獣オンパレードなんですが(汗)。
  2. マリナ役の斉川あいさんがバイク免許を持っていないため、バイクのシーンは全てスタントマンによる吹き替えなのだが、このスタントの人がかなりの腕前だったらしく、本来一日がかりになりそうな撮影を僅か半日で終えられた、と後に村石監督は述懐しています(朝日ソノラマファンタスティックコレクション「ウルトラマンメビウス ドキュメントアーカイブ」より)。
  3. この頃くらいには「サコミズ隊長=ゾフィーの人間体」説がかなり濃厚だったような…。

*1:なお、このキャンパー役は、村石監督の撮影助手のトミーさんこと富田卓さんでした。お疲れ様です

*2:よく見ると、サントリーの缶コーヒー「BOSS」と同じようなフォントの字で「JIJI」と書いてある(笑)。しかもこの顔の人物、どう見ても村石監督にしか見えない(もっと笑)。

*3:「大体、女がGUYSに入るなんて生意気なんだよ!」と、ウルトラシリーズの常識も弁えないようなバカ発言でマリナを逆上させた。その逆上したマリナがDQN男に対して発したのが先の「訂正しなさいよ!!」だったというわけさ。

*4:因みに、この猟師役は村石監督ご本人。ホントにお疲れ様です…ってか、あんたも好きねぇ(by加藤茶)。

*5:「危機的状況において、使用許可を取ることが不可能な場合のみ、特例として解禁す」という一文。