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ま、タイトル通り「あったってなくたって大してかわりゃしない(by古今亭志ん朝師匠)」blogであります(苦笑)。

先々週の「ウルトラセブンX」。

脚本を書いていたのが「富豪刑事デラックス」にも参加していた福田卓郎さんだったと知って、今回のストーリーとよく似た部分が「富豪刑事デラックス」にもあったと言うことを思い出した。それも、同じ第3話。
「セブンX」の第3話は「Hopeless」というタイトル。このタイトルは、「将来に希望を持てない若者」という意味のこの作品における造語で、まともに就職すら出来ず低所得生活を余儀なくされている連中のことである*1そんな彼らを高待遇で雇う謎のおっさん・タマル(演ずるはかの「MCコミヤ」こと小宮孝泰!)。
 そんな中、脳が異常に収縮した人間の死体が続々と発見されていた。調査機関・DEUSのエージェント・ジンとケイは早速潜入調査を開始する…。
 そこで彼らが見たものは、宇宙人の侵略兵器を組み立てている人間たちと、その兵器を動かすために人間の脳に含まれるエネルギーを何の疑いもなく提供している人間たち…希望もない彼らにとって地球はもう何の意味もなくなっていたのだ!故に、地球の平和より自分たちが大金を得ることの方が大事と口々に言う若者たちの言葉にジンは絶句してしまう…。
 やがて、MCコミヤ…もとい、タマルはその正体を現した。彼の正体はマーキンド星人。何者かに侵略兵器の製造を依頼され、そのために必要な労働力を集めていたのだ。その時に彼が言い放った一言…。
 「退治するのは私一人だけでいいのか?彼らも同罪ではないのかね?」
 「自らの星を滅ぼすことに手を貸す地球人のために闘う必要がどこにある?」
…前者に酷似した台詞が件の「富豪刑事デラックス」にも出てくるんですよ。
確か、いんちき占い師と手を組んでいた会社社長のセリフだったと思うんですが、この占い師は、自分のファンを使って、占いが当たるように裏工作をしていたんですな。時には事故に見せかけた殺人なんかも…その数はざっと見積もって10人程度じゃきかないほどでした。
 「逮捕するのは我々二人だけでいいのかね?我々に協力した連中も逮捕する必要があるのではないのかね?だとしたら、全員逮捕するか?」
形がどうであれ、恐ろしい企てに加担したものは罪に問えるのか?という点は共通しています(ま、地球侵略と己の野望では明らかにスケールは違いますが、でも言わんとしている事はほぼ同じだと思えます)。
 結局、マーキンド星人はウルトラセブンXに変身したジンに倒されますが、彼がいまわの際に残した言葉が更なる戦慄をもたらします…。
 「御人好しの君にだけ教えておこう…この侵略兵器の製造を依頼したクライアントは…人間だ!」
…あえて特定の人物を想起させるような形にしなかったことが妙な余韻を残しました。即ち、希望のない人間は周りの状況を破壊するようなことと知りつつも悪事に加担してしまう虞がある、という…そしてそれは、この番組を見た我々も例外ではない、と…。
だからこそ、希望を失わずに生きていかなければいけない、ということなのでしょうね。
ところで、もう一つ。この「Hopeless」と呼ばれる人たちも仲間意識だけはあったようで、死体となって発見された労働者仲間の葬式に使う金を持ち歩いていた男、という人物が登場していました。
最初は金を持ち逃げするのではないか、とジンとケイに身柄を確保されたのですが、まだこういう使い道を思いつく辺り、彼は人間としての心を失っていないようでした。もし、彼の組み立てていた侵略兵器が完成し、成績のよくない彼の仲間がその実験台にされたとしたら…とちょっとだけ妄想してしまいました。果たして、彼は気付くだろうか?と。

*1:この作品って近未来の世界の話なんだけど、こんなところが妙に現代の日本を活写しているような気がする。