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ま、タイトル通り「あったってなくたって大してかわりゃしない(by古今亭志ん朝師匠)」blogであります(苦笑)。

ザ・ダイナマイツ、カッコいいガレージ・ビートはこれだ!

 さて、大分間が空いてしまったこの連載ですが、今回はザ・ダイナマイツを取り上げてみましょうか。
 当時はそんなに売れてはいなかったのにも関わらず、若いGS者たちの間では結構有名なGS、それがザ・ダイナマイツ…ってことになるんでしょうね。何せ彼らのデビュー曲「トンネル天国」にしてもアルバム用に録り直したヴァージョンのほうが良く知られているというくらいなもので、リアルタイムから40年近く経って新しく聴き直されているグループということも言えるのではないのでしょうか。
 今回のタイトルは、彼らが残した唯一のアルバム「ザ・ダイナマイツ R&Bはこれだ!」のパロディです。ヴォーカル・瀬川洋の吼えるヴォーカルとリードギター山口冨士夫のへヴィーな響きのギターにリズム隊…巧いバンドってのはやはりリズム隊の出来が違いますね…リズムギター・大木啓造、ベース・吉田博、ドラムス・野村光朗の鉄壁のリズム…これほどバンドとしてのアンサンブルが出来ているバンドってのはスパイダースやブルコメの両巨頭やジャガーズ、カップスなんかを除くと殆んど皆無なんです(かのタイガースも巧く聞こえますが、レコーディングの際はスタジオミュージシャンが殆んど演奏しているのでライブ音源なんか聞くとがっかりするくらい下手な演奏だったりします)。
 のみならず、私は未入手なんですが、彼らの幻のライブ音源がCD化されて中古レコード店などで売られたりしていることからも、かなり実力派バンドだったんだなぁと思われます(ただし飽くまでも海賊盤に近い代物なので音質はかなり悪いらしいです)。
 「トンネル天国」…これはアルバムヴァージョンを聴いてください。バンドのメンバーだけで録り直した入魂の演奏が光る一曲です。間奏の山口冨士夫のギターソロはカッコいいとしか言いようがない!
 「恋はもうたくさん」…私の知り合いのバンド、ザ・セント・オー・ジーンズもレパートリーにしている幻の名曲。スピード感と哀愁の同居したメロディ、シングルヴァージョンからストリングスを抜いただけでこうも違った印象を受けるかと思い知らされるシンプルでカッコいいアレンジ…ありとあらゆるGSナンバーの中でもベストな曲です。
 「ウォーキング・ザ・ドッグ」はアメリカのR&Bシンガー、ルーファス・トーマスのナンバーのカヴァー。ずしりと重いリズムに乗って、間奏では山口冨士夫のギターとブルース・ハープが大いに盛り上げてくれます(ステージではたぶんハーモニカホルダーを使ってた…のかな?)。
 「のぼせちゃいけない」はえらく能天気な片想いの歌。リードヴォーカルの瀬川洋の作詞・作曲による一曲です。やっと思いが通じたと思いきや
「だけどあんまりのぼせちゃいけない/とかく女は浮気者だよ」
と自戒する主人公の心理がえらいパターン破りで驚かされます。
今この曲をカヴァーする勇者はいないもんだろうか、と思うけど…知名度がないか(がっくり)。
 こんなところが「R&Bはこれだ!」の個人的聞き物ですかね。
 今は瀬川氏がソロを経てライブ主体のバンド「トラベリング・オーシャン・ブールバード」として、山口冨士夫氏は伝説のハードロックバンド「村八分」で活動しているそうですが、解散時の音楽の方向性をめぐる対立から再結成はまずありえないバンドなんだとか…惜しいなぁ。
 三多摩地区の悪がき連中がビートルズみたいなバンドをやりたくて結成されたこのザ・ダイナマイツ、アルバムの中ではあまり似合いそうにないビージーズやモンキーズの曲もやっていますが、そんなあまりやる気もなかったであろう曲の中でも、きらりと光るようなセンスあるギターやコーラスを披露してくれています。こうした所もプロだったんですね。
 意に沿わないからやらない、のではなく、意には沿わないけど仕事だからやる、というのが真の意味でのプロフェッショナルなんですね。そして、そのプロフェッショナルとしての立場こそが真の意味での大人…ってことなんでしょう。なかなか難しいことではあるのですがね。
 さて、次回は…どうしようか。じゃ、やはりアルバムを購入して聞いたところ、これは巧いバンド!と感激したバンド、ザ・ビーバーズに行ってみようかな。
 と言うわけで、次回をお楽しみに。