「ウルトラマンメビウス」第15話「不死鳥の砦」その3。
何やら格納庫へ向かう道の途中で、アライソ整備長はミライに愚痴ります。リュウは機体…即ち、ガンフェニックスを大事にしすぎる、と。ミライはそれに対し、
「リュウさんにとって、ガンフェニックスは特別なんです!」
と抗弁するものの、(ま、「俺たちの翼」ですからね)アライソさん手厳しく言いこめます。
「『俺たちの翼』か?だから捨てられねぇってのか!?だったらな、飛ばしたりしねぇで蔵ん中へでもしまっとけ!」
蔵ん中へしまっとけ…味な言い回しだ(微笑)。しかしここで、唐突過ぎることをミライは突っ込みます。
「アライソさんは…メテオールが嫌いなんですか?」
「…何ぃ?」
物凄い形相で振り返るアライソさん…さすが嘗ては時代劇において盗賊の親分やらやくざの親分やら、とかくドスの利いた役どころを数多く演じてきたベテラン・綿引勝彦氏、物凄い貫禄と迫力です。
一方、司令室では、サコミズ隊長がリュウに意外なことを告げていました。何故メテオールに使用制限時間があるのか…危険だったら一分なんていわずに使用禁止にしてしまえばいいものを、一分という使用制限を設けてまでもメテオールを使用したのは何故なのかを。
そのメテオール搭載を進言したのは…そう、話の流れから分かりますね。アライソさんだったんです。
ミライは、アライソさんの来し方を聞いておりました。
40年前に、まだ駆け出しの整備班員だったアライソさんが、列線整備で最初に触った機体・あの科学特捜隊の万能戦闘機・ジェットビートルのこと、歴代の防衛チームの整備に携わってきたアライソさんの歳月を…ウルトラホーク(「ウルトラセブン」ウルトラ警備隊)、マットアロー(「帰ってきたウルトラマン」MAT)、タックファルコン(「ウルトラマンA」TAC)、コンドル1号(「ウルトラマンタロウ」ZAT)、スカイハイヤー(「ウルトラマン80」UGM)…みんな、この道一筋40年の大ベテラン・アライソさんにとっては子供みたいなもんなんですね。
あれ?マッキー(「ウルトラマンレオ」MAC)は?って突っ込む方も数多いんだろうな。
何故マッキーだけ挙げられなかったのか?マッキーはよく墜落して、多くの場合パイロットたちも戦死していたんですよ。故に、これからのアライソさんの話に矛盾してしまうから、ここには挙げなかった、というわけなんです。
「確かに、よく落っこったけどよ…でも、みんな生きて帰ってきたじゃねぇか…帰ってこさせたじゃねぇか…!メテオールだろうと何だろうと、生身の人間を乗せるからには、目的は一つよ!」
静かに燃える、整備士魂を、ミライは感じ取っていました。
司令室での隊長とリュウの会話は更に進みます。何と意外な過去第2弾!セリザワ前隊長が、メテオール搭載機のテストパイロットをしていた!という話。
「信じられねぇ…」
と呟くリュウ。無理もありません。リュウがGUYS隊員になる随分前の話…セリザワもまだ平隊員だったと推測されます。機体はしょっちゅう炎上し(何だかカープの救援投手陣のようですが→泣)、セリザワ前隊長自身も度々重症で病院に運ばれたりしていました。上層部は当然訝しく思ったことでしょう。何せ20年近く怪獣は現れていなかったのですから。なぜそこまで…と思ったことでしょう。その理由はただ一つ。クルーの命を救うためであること…リュウもアライソさんの熱い思いを少し理解しかけたところです。しかし、アライソさんの思いも虚しく、ガンクルセイダーにメテオールは搭載されなかったのでした…もしメテオールが搭載されていたら、第1話で出撃したクルーたちは…(泣)。
「皮肉なもんだ…ガンフェニックスにメテオールが積めたのは、ガンクルセイダーが犠牲になったおかげだ!」
格納庫の出口へ向かうアライソさんはそう呟きます。後からミライが重そうに荷物を抱えてついてきます。
格納庫のハッチを開けながら、アライソさんは独り言を言います。
「俺は…あいつらを…救えなかった…」
ここにも、命を救えなかったことで十字架を背負ってしまった人が…。
「脱出すりゃぁいいものを…機体と一緒に逝っちまいやがった…」
向き直ってミライに話しかけるアライソさん。その表情はかなり険しくなっていました。
「だからあの小僧(=リュウ)はトンチキだってんだ…脱出するくらいなら心中するって大たわけだ!…俺たちが汗水たらして機体を整備するのは…生きて…帰ってこさせるためなんだ…!」
格納庫のハッチがゆっくりと開け放たれ、特別輸送機が姿を現していました。
「行くぞ!小僧!」
「え?どこへ?」
「ちょっくら、ニューヨークの総本部へな!」
ちょっくらってレベルじゃないでしょう、アライソさん(笑)。
整備士の熱い思い…それを知ったクルーたちは、果たしていかなる思いでグロマイトとの戦いに臨むのか?
次回、「不死鳥の砦」その4にご期待ください!