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ま、タイトル通り「あったってなくたって大してかわりゃしない(by古今亭志ん朝師匠)」blogであります(苦笑)。

第7話 おしりかじり虫、臨死体験する(?)

「…うわぁやめーてー!たーすーけーてー!おしーりー!」

「まだうなされているようでちゅわタイショーくん」
「どうやらよっぽど酷い目に遭ったみてぇだなぁ」
ボクの耳元で何やら話しこむ声が聞こえたのは、ジオンのMSのおっちゃんたちがよってたかってボクをいじめてからどれくらい経ったか分からないくらいに長い時間が経った後だったんや。
ボクの横には、結構大きなハツカネズミ…じゃなかった、ハムスターが二匹おった。
どうやらこのハムスターたちが、ボクを介抱してくれたみたいなんや。

「あ…あの、君たちは?」
「おぉ、気が付いたみてぇだな。俺たちがお前をここまで運んできたんだ」
「ひどく怪我をしていたみたいだったので、傷の手当もしておきまちたの」
一匹はごつい体格のガキ大将みたいな雄のハムスター、もう一匹は雌でどことなく舌足らずな喋り方をしてたんや。
ちょうど差し込んできた光の具合と、助けてもらったありがたさと、自分が生きているっていう奇跡みたいな瞬間がない交ぜになって、この二匹のハムスターが天国の神様みたいに見えてきたんや。
「おっと、まだ名乗ってなかったじぇ。俺さまはタイショー」
「あたちは、リボンちゃんでちゅ」
「ボクは…おしりかじり虫」
「おしりかじり虫だって!?」
タイショーくんというごついハムスターはそういってびっくりしたような顔をしたんや。
「あの、おしりかじり虫でちゅの?」
「あの」という言葉にどんな意味をこめたかはともかくとして、リボンちゃんもびっくりしたんや。
そっか、ボクはいつの間にやら忘れられとったんやな…。
「あぁ、思い出した。去年アホみたいに流行ったあれか」
「『アホみたい』は失礼でちゅわ、タイショーくん。そう言えば、あたちの飼い主のマリアちゃんも持ってまちたわ、おしりかじり虫くんのぬいぐるみ」
「え、ホントに!?」
「でも、今年になってもう飽きちゃったって、捨ててしまいまちたの」
がばっと起き上がりかけたボクは豪快にずっこけたってわけや。
「そうかぁ、ブームが去っても、旅を続けてたんだな…俺たちも、アニメをやってた頃は楽しかったじぇ…ハム太郎、こうし…地下ハウスに用もなく集まっちゃぁ何か楽しい事をしてた…」
何や知らんけど、タイショーくんそう言ってるうちに、声がだんだん震えてきたんや。
「そうでちたわね…アニメも終わってしまって、今じゃ誰もあたちたちのことなんか、思い出してもくれまちぇんわ…」
リボンちゃんもや。どうやら忘れ去られたのはボクだけやないっちゅうこっちゃな…何か複雑な気もするけどま、しゃぁないわ。
「こんな酷い目に遭っても、お前は頑張ってる…全く、えれぇよ…そこへ行くと俺さまときたら…」
「タイショーくん、あたちたちも一生懸命頑張らなくちゃいけないのでちゅわ!こんな虫さんだって一生懸命に頑張ってるんでちゅもの、あたちたちにだって頑張れないはずはありまちぇんわ!」
「リボンちゃん、それは分かるけど…こいつ、どう見ても俺たちよりでかいじぇ?こりゃ虫って言っても…」
「ごちゃごちゃ言ってはいけまちぇん!」
何や知らんけど、このリボンちゃんってハムスター、めっちゃ気が強い子ぉやなぁ。
「おしりかじり虫…って呼びにくい名前だなぁ、もちっと何とかならねぇのか?」
「ほな…そうや!」
ボクはタイショーくんにそう言われて、小さい頃の事を思い出したんや。
ボクのチチとハハが、18世の称号を与える前の名前…聖書に出てくる福音の天使・ガブリエルに因んで、おしりを「ガブリ」とかじることから「ガブリン」って呼ばれてたことを…。
ガブリンって呼んだってぇな!」
ガブリンか…その方が呼びやすいな!」
「じゃぁ、ガブリンくん…でいいでちゅね?」
「いいよ!」
ボクたちは、こうして友達になったんや。                (つづく)