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ま、タイトル通り「あったってなくたって大してかわりゃしない(by古今亭志ん朝師匠)」blogであります(苦笑)。

「ウルトラマンメビウス」ツッコミレビューVol.1

連休を利用して視聴したDVD「ウルトラマンメビウス」のストーリーレビューを、私なりにツッコミを入れながらご紹介してしまおうというあまりにも得手勝手なコーナーです。以後よろしく(ペコリ)。
第1話「運命の出逢い」(脚本:赤星政尚 特撮監督:原口智生 監督:佐野智樹)
光の国・M78星雲…まばゆい光が沸き立ち流れる光の空間に、宇宙警備隊大隊長ウルトラの父(声の出演:西岡徳馬)の姿と、宇宙警備隊のルーキー戦士の姿があった。
ウルトラの父「今より君は、ウルトラマンだ」
ルーキー戦士「ウルトラマン…?」
ウルトラの父「あの星では、我々のことをそう呼んでいる」
そう、このルーキー戦士こそ、本編のタイトルロール・ウルトラマンメビウスなのです…が、まだ本編ではそうは呼ばれていません。
周りに立ち並ぶのは、歴代のM78星雲出身のウルトラの戦士たち(ってことは、「ウルトラマンティガ(1997年)」以降のウルトラ戦士は…オミットってことでしょうか?)。ウルトラ6兄弟(タロウまで)は勿論のこと、レオ&アストラや80、それにユリアン*1まで!ここで嘗てのウルトラファンは感涙にむせぶことでありましょう!そこまでこだわるか!と。
ウルトラの父は一頻り「君にしか見つけられない大切なものを見つけよ」という内容の訓示を垂れると、手にしたウルトラアレイ*2をかざします。たちまちメビウスの左腕にブレスレットが装着されます。このときの効果音はウルトラマンの変身時のサウンドが使われています。
ウルトラの父「若き勇士よ!行くが良い、かけがえのない星・地球へ!」
今、ウルトラの国のルーキー戦士・ウルトラマンメビウスの闘いの物語は幕を開けたのでした…。

さて、長らく怪獣が出現しない時期が続いた地球…というか日本。この辺り、平和ボケした日本への皮肉のような描写のされ方?と思った私は穿ち過ぎた見方をしているのでしょうか…?
 小さな女の子の手にした赤い風船が飛ばされてしまう…しかし、その風船は、人の良さそうな青年の手に握られていたのでした。この青年こそヒビノ・ミライ(演:五十嵐隼士)…ウルトラマンメビウスの地球における仮の姿なのでした。
 少女に風船を手渡すミライ、「ありがとう」と言って微笑み、風船を手にして去ってゆく女の子…その姿を見送り「ありが…とう…」と反復するミライ…地球で知った最初の言葉でした。
 地球防衛組織「GUYS(=Guards for UtilitY Situation:あらゆる状況における防衛隊)」日本支部のトリヤマ補佐官(演:石井喧一)は暢気に部下のマル秘書官(演:まいど豊)とゴルフに興じている始末…そこへ総本部総監代行、ミサキ・ユキ女史(演:石川紗彩)から緊急連絡が…宇宙怪獣の出現が確認されたというその内容に驚くトリヤマ…この4半世紀の間現れなかった怪獣が何で任期満了を平穏無事に迎えようとしているこんな時期に…宇宙ステーション・V77が攻撃準備に入っていると告げるミサキ女史の言葉に、何やら不安な様子のトリヤマ補佐官でした。成層圏内に近づきつつあるという報告に、トリヤマはすっかりうろたえています…と言っても至極個人的な事情で、ですが。
 その頃、市街地を見下ろす小高い丘の上の公園で、一人の男…GUYSジャパンの隊員、アイハラ・リュウ(演:仁科克基)が何やら独り言を言っています。
 「一つ!腹ペコのまま学校へ行かぬこと!」
おお!これは!「帰ってきたウルトラマン(1971年)」最終回で登場した「ウルトラ5つの誓い」ではないか!ところが、4つ目の言葉、
 「一つ!他人の力を頼りにしないこと!」
を先に言われてしまいます。声のした方を見ると…ミライがそこに立っていました。
 「一つ!土の上をはだしで走り回って遊ぶこと!」
二人で唱和します。うーむ、声を出すってやっぱりいいなぁ…。「声に出して読みたい日本語」に、これも入れてくれたらよかったのになぁ、齋藤孝先生(謎)。
リュウ:「驚いたなぁ、知ってるヤツがいたとは…これ、俺の上司の口癖だぜ?小さい頃に友達から教わったんだそうだ。何でも、ウルトラマンの言葉なんだと」
ミライ:「はい、ボクもそう聞いてます」
リュウ:「笑っちまうよなぁ…ウルトラマンなんて、もうとっくに伝説だし、今やこの地球は…」
と言って、リュウは着ていたジャケットの左胸に手をやります。そこには、GUYSの実行部隊・CREW GUYSのシンボルマークが…。
リュウ:「俺たちGUYSが守ってるんだからな…ウルトラマンかぁ…今頃何処で何してるんだろうなぁ…」
と、照明灯のガラスがはじけとび、柱が倒れ掛かってきます。慌てて避ける二人…。そこにただならぬ気配を察知するミライ…。一方、リュウのメモリーディスプレイ*3にもセリザワ・シンゴ隊長(演:石川真)から連絡が…再会を期してリュウとミライは別れます。
 さて、地球に近づきつつある宇宙怪獣ディノゾールは、ステーションV77の攻撃にもびくともしないばかりか、逆にその鋭利な舌(断層スクープデイバー…という名前だそうです…)でステーションを一刀両断…いや一舌両断し、着々と地球、それも日本の上空に迫りつつありました。その報告を帰りの車中で受けたトリヤマ補佐官は完全にうろたえています。世界各国の精鋭をさしおいて、何故GUYS日本支部(GUYSジャパン)が?と…つくづく小市民だなぁ…。
 一方、ミライは謎の女(演:小山萌子)を目撃、人間とは思えぬスピードで走って逃げる女を追跡します。ミライをあざ笑うかのように念動力で小石や木の棘をミライにぶつけてくる女…やがてその姿は、突如現れた次元の歪みの中に消えてゆきます…一体何者なのでしょう?
 時を同じくして、GUYSジャパンの迎撃戦闘機部隊*4が出撃します。防衛隊に憧れて入隊したリュウも、尊敬してやまないセリザワ隊長と共に初めての出撃に臨みます。
 その頃、東京には付設以来初めてとなる避難警報がなり、住民に避難命令がなされます。保育園の保育士見習いのアマガイ・コノミ(演:平田弥里。以降本コラムでは「コノミタン」と呼びます…笑)、病院で足の具合を見てもらい、軽度の練習なら大丈夫、と医師のお墨付きをもらったスペイン帰りのサッカー選手イカルガ・ジョージ(演:渡辺大輔)、その病院の院長の息子で、母親共々避難する途中だった医学部の学生クゼ・テッペイ(演:内野謙太)、そして女性オートレーサーとして初の世界グランプリが見えてきたカザマ・マリナ(演:斉川あい)…よもやこの怪獣襲来が、結びつきようのない彼らを結びつけることになろうとは…神のみぞ知る奇跡だったことでしょう。
 保育園にウサギを忘れてきたことを園児から聞いたコノミタン(微笑)は今来た道を戻ります。しかし、こんな状況で戻る事は自殺行為に等しい。警官に止められるコノミタン…しかし、ジョージが偶然転がってきたサッカーボールをキック!物凄い唸りを上げたボールは警官の鼻先を掠めると、大きくカーブして団地の壁に激突!…って人間技じゃないぞ、これ?「流星シュート」って言うんだとか。それを目撃したテッペイが思わず、
 「流星シュート…そうか!サッカー選手のイカルガ・ジョージだ!」
それを聞いたジョージ、いきなりテッペイに対して、
 「行くぜ、アミーゴ!」
 「へ?ぼ、僕もですか…?」
一方、保育園へ向かうコノミタンを、バイクに乗ったマリナが見止めて後ろに乗せてあげます。

 怪獣ディノゾールの攻撃の前に迎撃部隊は壊滅的な被害を被り、成層圏内でディノゾールを迎撃しようとしたセリザワ機も片翼を切断されてしまいます。リュウを強制脱出させ、ディノゾールに特攻をかけるセリザワ…。
 「リュウ…GUYSを…頼んだぞ…」
爆破四散する隊長機!…しかし、無情にもディノゾールは傷一つ負ってはいません…。
 
 そのころ、コノミタン・ジョージ・テッペイ・マリナの4人は悪戦苦闘しながらもウサギを段ボール箱に移し替えています。そこへミライもやってきます。しかし!ディノゾールがそんなことを待っている訳もなく、保育園の方向へ次第に近づいてきます…。
 脱出して地上に降りたリュウもGUYS専用銃・トライガーショットで迎撃しますが、ディノゾールは後ろを向いたまま背部からの小型弾で応戦!そしてだんだん保育園に近づいてきます。
 マリナの聴覚が何かを察知し、ジョージの動体視力がディノゾールの舌の動きに何かを見てとります。
 「危ない!」
慌ててテッペイとコノミタンを突き飛ばすジョージ…間一髪!さっきまで彼らがいた地点をディノゾールの舌が一閃!地面には大きな裂け目が走りました…それにしても何という威力!そして何というスリル!
 意を決した表情で4人を逃がすと、ミライはディノゾールに近づいてゆきます。そして左腕をひじから垂直に…その左腕に現れるメビウスブレス…中央のボールの部分を手で擦ると、赤い光が点灯し球状の部分が高速で回転を始めます。まるで宇宙刑事の変身のように大きく上体を沈めると…
 「メビウ〜ス!」
左腕を高々と突き上げます。見る間にその姿はウルトラマンへと変わってゆきます。
 実に25年ぶりのウルトラマンの登場(実際はもっと頻繁に出てたけど)に市民は大喜び!快哉をあげたり、携帯電話を向けるヒマな人も(いや、写真撮ってる暇があったら逃げなさいって)。
 しかし、その闘い方は悲惨そのもの。断層スクープデイバーを避けるためにビルを盾にしたり、あちこち逃げ回ってビルや民家を壊したりと、あまりにもお粗末な戦いぶり…あらら…。
 そうこうしているうちに、カラータイマーが点滅を始めます。けりをつけるべくメビウスブレスを擦るメビウス…手をゆっくりと頭の上に上げ、十字に組みます。スペシウム光線そっくりのポーズから発射された必殺光線・メビウムシュートの前に、ディノゾールは倒されました。
 快哉を叫ぶ市民…しかし、一人怒声を上げる人が…リュウでした。
 「バカヤロー!何てヘタクソな闘い方だ!周りを見てみやがれ!…それでもウルトラマンか…何も  守れてねぇじゃねぇか…俺だってそうだ…何も守れなかった…(泣き崩れる)」
その夜、ジャケット姿で昼間の公園のベンチに座り込むリュウ…その隣に現れたミライは、何故かGUYSの隊員服を着ています。一緒に戦いたいというミライにリュウは怒りをあらわに…というか八つ当たり気味に「ウルトラマンが現れたらGUYSなんて意味がない!」と怒鳴りつけてメモリーディスプレイを投げ捨てようとします…しかし、結局捨てきれずにGUYS基地・フェニックスネストへ向かいます。そこで彼らを待っていたのは…新隊長であるサコミズ・シンゴ(演:田中実)と統合攻撃戦闘機ガンフェニックス…以下次回!

 …第1話としては申し分のない内容でした。
 メンバー紹介、作品世界の説明、息も吐かせぬ戦闘シーン、謎の敵…などなど数多くの見せ場を鮮やかに見せ付ける佐野監督の手腕はさすがの一言に尽きるでしょう。
 「特撮ニュータイプ」のインタビューでは「テレビの30分という時間はかなり短い、かなり切らなきゃいけないよ、と小中(和哉)監督から忠告を受けていたので、かなり苦労しました」と述べていた佐野監督。いやいや、多少説明的な部分はあれど、かなりいろいろな状況を一気に見せて物語をあっという間に収束させてゆくのは本当に素晴らしかったですよ。現に今回のレビューでは、かなり私が説明する方で話の順番が前後しているくらいですから。
 それにしても、正規の訓練を受けて生き残ったのがリュウだけってのは…何とかならなかったんでしょうか?



 

*1:ウルトラマン80(1980年)」に登場した、ウルトラの母に続く二人目の女性ウルトラ戦士。何と光の国の王女様!なのだが、だからと言ってどうという事はない謎の人(失礼)。地球上ではUGMの新人隊員・星涼子(演:萩原佐代子)として生活している。

*2:ウルトラの父が持っている道具…っていうのかな?その名の通り鉄アレイのような形状をしており、ウルトラ兄弟に活力を与えたり、勿論武器としても使える。

*3:GUYS隊員専用の万能通信機。通信機としてだけでなく、怪獣のデータ照合や小型の銃としても使用可能。

*4:この戦闘機は「ガンクルセイダー」。円谷プロダクション製作の特撮ドラマ「マイティジャック(1968年)」に登場した迎撃戦闘機・コンクルーダーのミニチュアを流用したものだそうですが…いや、よく残ってましたねそういうものが。