私が何故仕事を辞めたか
正直、新年早々の勤務で隊長から叱責を受けて以来、私の心はかなり萎縮してしまった。のみならず、私の仕事における失敗が与える影響の大きさと責任の重さに耐え難くなってしまった。
「耐え難きを耐え、忍び難きを忍び…」とは玉音放送の一部であるが、私にはそれが出来なかった。
それが出来ない人間が、この仕事を続けられるはずがない。
これが、全ての理由である。
落ち着いてこなして行けばこなせない仕事ではなかったと思う。
ただ、そう思った時点でもう一度考える必要があったのかもしれない。
世の中には容易く出来る仕事などない。
もし、容易く出来る仕事があったとしたら、その仕事はよほどいい加減な仕事だ。
さもなくば、本当に単純な仕事だ。
だが、単純な仕事というのはそれ自体だけでは成立し得ないのが殆んどであろう。
こちらから出向くような性質の仕事でもなかった。
ただ、何かが起こったときのために動けるような体勢でいなければならない仕事でもある。
そのあたりの難しさもあった。
考えなしに出来る仕事ではなかった。
それを考えなしにやろうとしたところに、無理があったのかもしれない。
先ほども述べたとおり、容易く出来る仕事などないのだ。
いずれにしても、もう決定された事だし、
今の私には職はない。
また、職を探すより他に道はない。
耐え難きを耐え、
忍び難きを忍び、
また、一歩ずつ進んで行くしかないのである。