だから、こいつは害虫なんだってば。
さて、これまで本稿で述べてきた世紀の害虫にして恐怖の地球外生命体、おしりかじり虫に関する概要をここでおさらいしておくことにしよう。
・彼らは、われわれ人類の予想をはるかに超えた驚愕のテクノロジーを会得している。
(しかも彼らはそのことに関してまるで無自覚である)
・彼らは、大気圏外でも棲息可能な地球外生命体である。
・彼らは、嘗て地球と同じような星で、地球人に類似したと思われる生物と共存していたが、彼らがその生物のおしりをかじりすぎたせいで(笑)、その星の地球人に良く似たと思われる生物は滅び、その結果、彼らは次なる人類型生物のおしりをかじるべく地球に飛来した(当然、そうなることによって人類が滅ぶなどということは考えていない。彼らは「細かいことを考えられない」生き物ゆえ当然の帰結である)。
・彼らは、成層圏外から飛び降りても大気との摩擦で燃え尽きることなく、また超高度から飛び降りたにもかかわらず無傷のまま、尻餅の反動を利用して、常識外れの跳躍力を得ることが可能である。
・彼らは、おしりと名のつくものならば硬い石像だろうが何だろうがかじらずにはいられない、恐るべき生命体である。
この中で特筆すべきは第3の点…彼らが何ゆえ地球に出現したのか、である。
私の述べたこの説、まず間違いはないと断言しよう。
彼らは、たびたび繰り返して恐縮だが「細かいことを考えられない」生き物」であるからして、自分たち以外の生命体の存亡やら、自分たちの行動がもたらす影響やらには全くと言っていいほど頓着していない。
私が彼らを恐怖するのはただこの一点においてのみである。
彼らの行動について何らかの考えが背景にあるとしたのなら、それに対して打つ手は存分に考えられよう。だが、彼らが「細かいことを考えられない」生き物である限り、彼らの行動に一定の原理や脈絡、一貫した論理性といったものはまるでないと言ってもよい(一貫している行動原理は「おしりをかじる」ことなのだが、何故彼らがそこまで人のおしりをかじるのかはかの柳田理科雄先生を以てしても究明され得なかった謎であるからして、やはり彼らは何も考えていないとみて間違いはないであろう)。
こういう手合いは得てして厄介と世間では相場が決まっているのである。
おそらく、彼らは今日もまた、己のその牙を使い、人間社会を混乱に陥れるべく(彼らはそんなこと考えちゃいないのだが、彼らのその行動がもたらす結果はそんなところだ)暗躍しているに違いないのである…。
くれぐれも、彼らの一見すると親しみやすい外見に騙される事のない様に、私から忠告しておく。